システム要件
DS-5で要求される最小のPCの仕様は以下の通りです。
-
dual core 2GHzプロセッサ(またはそれ相当)
-
2GBのRAM(大きなイメージのデバッグやシミュレータモデル使用時のパフォーマンス改善には4GB以上のRAMを推奨)
-
3.5GBのハードディスク(フルインストール時)
-
1024x768の画面解像度が最低限必要
サポートされるOSプラットフォーム
以下、特に指定が無いものについては32-bit/64-bit両方の対応となります。
Windows 10 64-bit
Windows 7 Professional Service pack 1
Windows 7 Enterprise Service pack 1
Windows 8.1 64-bit (ARM Compiler 5 and 6 toolchain only)
Windows Server 2012 64-bit(ARM Compiler 5 and 6 toolchain only)
Red Hat Enterprise Linux 6 Workstation 64-bit
Red Hat Enterprise Linux 7 Workstation 64-bit
Ubuntu Desktop Edition 14.04 LTS 64-bit
Ubuntu Desktop Edition 12.04 LTS 64-bit
ARM Compiler 6はDS-5の64-bitインストレーションでのみ提供されます。DS-5の32-bit向けインストレーション用に
http://ds.arm.com/downloads/compilers/
からARM Compiler 6をダウンロードすることができます。
注意:32-bitホストプラットフォームのサポートは非推奨で、将来のDS-5のリリースでは削除されます。
デバッグシステム要件
AndroidおよびARM Linuxアプリケーションデバッグではお客様のターゲット上にgdbserverを必要とします。選択した接続タイプによってDS-5デバッガからターゲットにgdbserverをコピーできることもありますが、それ以外の場合はご自身でコピーしていただく必要があります。
推奨されるgdbserverのバージョンは7.0以上です。DS-5デバッガと互換性のあるAndroidおよびARM Linux用にビルドされたgdbserver 実行形式が
<installdir>/arm/gdbserver
ディレクトリで提供されています。Android用gdbserver実行可能形式は、Android Virtual Devices Froyo-v2.2からICS-v4.0まででテストされています。
DS-5デバッガはgdbserver v6.8以前を用いたマルチスレッド対応のデバッグを行う事ができません。
Linux application rewindでは、AArch32アーキテクチャのアプリケーションのみサポートし、ターゲット上にundodb-serverを必要とします。DS-5デバッガはDownloadおよびDebug 接続タイプではundodb-serverをターゲットにコピーしますが、その他の接続タイプではご自身でコピーいただく必要があります。
undodb-serverのバイナリはインストールディレクトリ内、
<installdir>/arm/undodb/linux
にあります。Application rewindはforkされたプロセスやレジスタの修正をフォローしません。
DS-5でのAndroidおよびLinuxサポートは特定のカーネルバージョンにおいて導入されている機能とインフラストラクチャに対する依存性があります:
-
DS-5デバッガはNDKによって生成されたAndroidバージョン2.2、2.3.x、3.x.xおよび4.0のネイティブライブラリのデバッグをサポートします。
-
DS-5デバッガはARM Linux kernelバージョン2.6.28以降をサポートしています。
-
ARM Streamline Performance Analyzerで使用可能な最小のARM Linux kernelバージョンは3.4以降です。
-
SMPシステムでのアプリケーションデバッグでは、ARM Linux kernelバージョン2.6.36以降が必要です。
-
VFPおよびNEONレジスタへのアクセスは、ARM Linux kernelバージョン2.6.30以降およびgdbserver v7.0以降が必要です。
ARM Linux kernelおよびベアメタルデバッグはターゲットシステムとの接続に追加のツール(DS-5とは別提供)が必要です。
DSTREAM、RVI、ULINKproおよびULINKpro Dデバッグハードウェアユニットは物理ハードウェアターゲットに接続可能です。VSTREAM は RTLシミュレータとハードウェアエミュレータに接続可能です。
DSTREAM と VSTREAM を使用する際にARMv8 ベアメタルのデバッグはDS-5 Ultimate Edition のライセンスでのみ対応します。
DSTREAM、RVIおよびVSTREAMのサポートされる最小ファームウェアバージョンは、4.26.30となります。
DSTREAMおよびRVIでは提供されているdebug hardware updateツールを使って最新のファームウェアにアップデートされているかチェックし、必要であればアップデートを行う事を推奨します。更新されたファームウェアは、
<installdir>/sw/debughw/firmware
ディレクトリにあります。
VSTREAMのファームウェアはVSTREAMソフトウェアの一部として提供されますので、ファームウェアのバージョンが古すぎる場合、最新のバージョンの製品を入手してインストールする必要があります。
Linuxでのインストール
DS-5をLinuxにインストールするには、(sourceではなく)
install.sh
を実行し、スクリーン上の手順に従ってください。インストーラは選択したディレクトリにDS-5を解凍し、オプションでデバイスドライバとデスクトップショートカットをインストールします。
過去のDS-5のリリースがインストール済みの場合、インストール前に全てのリリースを削除することを推奨します。インストーラがこの手順をガイドします。このリリースを全く異なったディレクトリにインストールする方法もあります。
インストールされたいくつかのツールは32-bitシステムライブラリへの依存性があります。DS-5を64-bit Linuxホストプラットフォームにインストールした場合、32-bit互換ライブラリがインストールされていることを確認する必要があります。32-bit互換ライブラリがインストールされていない場合、DS-5ツールの実行に失敗したり、ライブラリが見つからない為にエラーがレポートされる可能性があります。
以下のARM KnowledtebaseにDS-5の依存性に関する詳細な情報があります:
http://infocenter.arm.com/help/index.jsp?topic=/com.arm.doc.faqs/ka14522.html
インストーラはDSTREAM、RVI、ULINKproおよびULINKpro DデバッグハードウェアユニットをUSB接続するためのデバイスドライバを含んでいます。これらの機能を使用する場合はドライバをインストールすることを推奨します。これらのドライバをインストールするにはインストーラをroot権限で実行する必要があります。インストーラをroot権限を用いて実行していない場合やこれらのドライバをインストールしない場合には、後からroot権限で以下のスクリプトを実行することでインストールが可能です。
<installdir>/run_post_install_for_ARM_DS-5_v5.25.0.sh
インストーラはサポートされるLinuxプラットフォーム上でfreedesktop.orgメニューシステムを用いてデスクトップメニューを生成します。
Windowsでのインストール
32-bitおよび64-bit Windows用に個別のインストーラがあります。
64-bit Windowsの環境に32-bit用の製品をインストール可能ですが、64-bit版をインストールすることを推奨します。64-bit版の製品は64-bit Windows専用であり、より大きなデータセットの処理を行う事ができ、32-bitインストレーションよりもオペレーティングシステムの互換性の問題が起きにくくなります。
DS-5をWindows上でインストールするには
setup.exe
を実行し、スクリーン上の手順に従ってください。過去のDS-5のリリースがインストール済みの場合、そのリリースに上書きしてインストールし、アップグレードすることが可能です。
インストール中にデバイスドライバのインストールが示されます。
これらのドライバはDSTREAM、RVI、ULINKpro、ULINKpro D およびEnergy Probe ハードウェアユニットをUSB接続したり、シミュレータモデルのネットワーキングサポートをするためのものです。
インストール中に、"Windows can't verify the publisher of this driver software"または"The software you are installing has not passed Windows Logo testing"といったワーニングが表示されますが、これらは安全に無視してインストールをしていただくことが可能です。
Windows上で管理者権限でコマンドラインプロンプトを開き、Microsoftのインストーラ
msiexec.exe
を実行すると、コマンドラインによるインストールとアンインストールが可能です。コマンドラインで、
msiexec /?
を実行すると、msiexecで使用できるオプションの全てのリストを確認することができます。
msiexecを使用したDS-5のインストール方法の例は、以下の通りです。
msiexec.exe /i
datainstall.msi EULA=1 /qn /l*v install.log
-
/i: このオプションは、インストールを実施します。
-
datainstall.msi: これは、インストールするための.msiファイルのフルパス名を指定します。
-
EULA=1: これはARM固有のオプションです。EULA=1は、お客様がEnd User License Agreement (EULA)に了承していることを意味します。お客様は、コマンドラインによるインストールでEULAに了承する前にGUIインストーラーでEULAをお読みください。
-
/qn: このオプションはインストレーションがユーザインタラクション(やり取り)を必要としないように、quiet modeを指定します。デバイスドライバのインストレーションは、ユーザインタラクションを必要とすることに注意してください。もしUSBドライバを必要としないあるいはUSBドライバのインストレーションでユーザインタラクションを避けたいのであれば、お客様はSKIP_DRIVERS=1オプションをコマンドラインで使用することができます。
-
/l*v install.log: このオプションは、インストレーションからの全ての出力をロギングするためのログファイルを指定します。
インストールメディア内readme.htmlにはインストール後の注意事項、アンインストール方法などについても記載がありますので必要に応じて参照してください。
インストール後
インストールの後、デスクトップメニューの
ARM DS-5 v5.25.0 ->
Eclipse for DS-5 v5.25.0
からEclipse for DS-5を開始することができます。ホストPC上のデスクトップメニューの既存の"Eclipse for DS-5"エントリが以前のバージョンのDS-5を指していることに注意してください。Eclipse for DS-5とその他の提供されたツールは、
/binディレクトリ内に見つけることができます。
DS-5の一部はライセンス管理されているので、使用前にライセンスをインストールする必要があります。
/bin
ディレクトリをPATH環境変数へ手動で追加することでコンソールから簡単にツールを実行することができます。
DS-5が、他の場所では異なって振る舞うかもしれないgccのコピーを含むことに注意してください。このために、もしPATH環境変数を変更するならエントリシステムのためにグローバルに変更するよりもローカルにコンソールで行うことを推奨します。環境変数に関するこれ以上の情報は、お使いのオペレーティングシステムのドキュメントをご参照ください。
Linux環境では、正しく構成されたPATH環境変数でシェルをオープンするために、
/bin/suite_exec
を実行することができます。このツールを引数無で走らせるとhelpを確認することができます。
Windows環境では、スタートメニューにDS-5 Command Promptを含みます。このコンソールは、binディレクトリをPATH環境変数へ事前に構成します。
LinuxとWindowsの両方とも、デフォルトではコンパイラツールチェーンを提供しませんが、
select_toolchain
あるいは
select_default_toolchain
コマンドを使用して、コンパイラを選択することができます。
DS-5を使用する詳細は情報は、Eclipse for DS-5に含まれるオンラインヘルプで確認することができます。オンラインヘルプにアクセスするには、Eclipse for DS-5を起動し、
Help ->
Help Contents
を選択してください。DS-5の主要なドキュメンテーションは、コンテンツの
DS-5 Documentation
下に見ることができます。
exampleのドキュメンテーションは、
/examples/docs/index.html
に提供されます。このドキュメントは、Windowsのスタートメニュー ARM DS-5 v5.24.0下のExamples Indexメニューエントリにリンクされています。
インストレーションの方法の詳細、ライセンシングおよびチュートリアルは、
http://ds.arm.com/developer-resources/tutorials/working-with-arm-ds-5/
にて確認することができます。
コンパイラについて
DS-5 にはベアメタルアプリケーションをコンパイルするために2つのバージョンのARM Compilerを含んでいます。ARM Compiler 5.06u3 はARMv7までの全てのARM アーキテクチャをサポートします(ARMv8はサポートしません)。ARM Compiler 6.5 はARMv7-A/R/M、ARMv8-A/R/M、ARMv6-Mをサポートします。ARMv8 のサポートが必要な場合DS-5 Ultimate Edition のライセンスが必要です。
両ARM Compiler バージョンはライセンス管理されており、全てのDS-5 のエディションがこのライセンスを含むわけではありません。お使いのDS-5 のエディションがARM Compiler のライセンスを含まない場合、あるいはLinux アプリケーションのような非ベアメタルアプリケーションを開発する場合はサードパーティのコンパイラが必要となる場合があります。
AArch32 をターゲットとするLinux アプリケーションおよびLinux カーネル開発向けにLinaro GCC Toolchain 4.8-2014.04 が提供されます。その他のGCC リリースは
https://launchpad.net/linaro-toolchain-binaries/
から取得可能です。
What's new
このリリースでの新しい機能または大きな変更のサマリを以下に示します:
ARM Compiler
-
ARM Compiler 6.5へ更新されました。
-
ARM Compiler 5.06u3へ更新されました。
DS-5 Debugger
-
ARMv8.2-Aのデバッグサポートが追加されました
-
Cortex-A5, Cortex-A7 および Cortex-A73 コアのキャッシュの可視化が追加されました
-
DS-5 use-case scriptでELA-500のサポートが拡張されました
-
overlayコードのデバッグがサポートされました(Cortex-Rのみ)
-
Stackビューに、関数引数とローカル変数の可視化が行われるようになりました
-
Jythonスクリプトのインタプリタがv2.7.0へ更新されました
-
最新のバグフィックスと全てのサポートされるデバッグプローブへの改善を行いました(DSTREAMユニットは本バージョンのDS-5に含まれるファームウェアバージョン4.29.0へ更新する必要があります。)
-
新たに以下のデバイスをサポートしました
-
Atmel SAMA5D2
-
NXP i.MX7 Dual
-
NXP LS1043A-RDB
-
ARM Phytec i.MX7 Dual
-
ARM Phytec i.MX7 Dual
-
Renesas RZ/T1 R7S910x25, R7S910x26, R7S910x27, R7S910x28
DS-5によってサポートされる全てのターゲットプラットフォームは、 https://developer.arm.com/products/software-development-tools/ds-5-development-studio/resources/supported-devicesに記載されています。
ARM Streamline Performance Analyzer
-
StreamlineからMali Graphic Debuggerへキャプチャセッションを転送できるようになりました
-
コマンドラインリポートモード生成用のパラメータが追加されました
-
Cortex-A73をサポートします
Simulation models
-
Fixed Virtual Platforms 10.0 release (64-bit installation only)へ更新しました
-
ARMv6-M, ARMv7-A/R/M および ARMv8-A (64-bitインストレーションのみ)アーキテクチャの仮想プラットフォームを提供するため、提供されるFVPのセットが拡張されました。いくつかの仮想プラットフォームはDS-5 Ultimate Editionが必要です
Eclipse IDE
-
最新のMISRA適合ツール向けに LDRAlite™がバージョン9.5.6へ更新されました
-
ARM Compiler 5およびARM Compiler 6ツールチェンを使用するC/C++プロジェクトのビルドオプションの設定行うユーザエクスペリエンスへの多くの改善を行いました。
Mali Graphics Debugger
-
DS-5はMali Graphic Debuggerを含みます。これは開発者がアプリケーション内のVulkan (1.0), OpenGL ES (1.x, 2.x, and 3.x), EGL (1.4), and OpenCL (1.x) API コールをトレースすることを許し、アプリケーションでframe単位で影響のある問題の識別を助けます。詳細な情報は、 https://developer.arm.com/products/software-development-tools/graphics-development-tools/mali-graphics-debuggerをご確認ください。
Examples
-
RTX-A9 RTOSがバージョン4.80へ更新されました
-
Cortex-A32、Cortex-A35およびCortex-A73用のベアメタルなスタートアップコードが提供されました
-
ARM Compiler 6.5によってサポートされた、オーバレイを使用するコードのビルドとデバッグをでもするexampleが新たに追加されました
-
DS-5で提供されないGCCベアメタルツールチェンでコンパイルされるスタートアップコードとexampleアプリケーションが追加されました
-
Embedded Logic Analyer ELA-500の使用をサポートするexampleスクリプトが追加されました
以下の機能は非推奨で、詳細のリリースで削除される可能性があります。
Linaro GCC Toolchain 4.8-2014.04
-
GCCツールチェーンの上位版がhttp://ds.arm.com/downloads/compilers で利用可能となりました。チュートリアルに従ってDS-5と一緒にインストールすることができます。
32-bitホストプラットフォーム
-
Windows 32-bitホストプラットフォームのサポートは非推奨です。DS-5の将来のリリースで削除されます。
DS-5 がサポートするターゲットプラットフォームのフルセットは以下のページをご参照ください:
http://ds.arm.com/developer-resources/supported-devices/
Streamline gator agentのソースコードは、以下のページから取得可能です。:
https://github.com/ARM-software/gator
過去のリリースでの変更点の一覧は以下のARM社サイトでご参照いただけます:
http://ds.arm.com/developer-resources/ds-5-development-studio-changelog/
既知の問題
このリリースで判明している既知の問題は以下の通りです
Eclipse for DS-5
●問題点
"cannot restore segment prot after reloc: Permission denied"が表示されEclipseの起動に失敗します。[SDDEBUG-13327]
●回避策
アプリケーションによって使用される共有ライブラリの一部がテキストの再配置を必要としますが、マシンのSecurity-enhanced Linux(SELinux)ポリシーによりこれが禁止されるためにこのエラーが発生します。これを回避するには、DS-5アプリケーションと共有ライブラリに対するSELinuxポリシーを変更し、テキストの再配置を許可します。これは以下のコマンドをsuper userアカウントで実行することで可能になります:
chcon -R -t texrel_shlib_t "<installdir>"
●問題点
"JVM terminated" の表示またはスタックバックトレースを出力して、Eclipse の起動に失敗します[SDDEBUG-4443]
●回避策
この問題は実行しているコンピュータにおいて Eclipse のヒープ設定が不適な場合に発生します。この問題に対応するために<installdir>/sw/eclipse/eclipse.iniを修正する必要があります。次のFAQに修正に関する詳細な方法が提供されています :
http://infocenter.arm.com/help/topic/com.arm.doc.faqs/ka14185.html
日本語版:
DS-5起動時に"JVM terminated"エラーが発生します