制御アルゴリズム検証のためのマルチ計測・適合ツール応用情報(1)多軸モーター制御の動作検証
DTSブログ
更新日:2019/09/12

多軸モーター制御に最適なマイコン「RX66T」「RX72T」(ルネサスエレクトロニクス社)

【多軸モーター制御に関する特長】
ルネサスエレクトロニクス社(以下、ルネサス社)のRX66T/RX72Tは、モーター・インバータ制御用に高い実績を誇るRX62T/RX63Tの後継で、RXマイコン最上位クラスCPUコア「RXv3」を搭載しています。
(動作周波数 RX66T:160MHz、RX72T:200MHz)
RX66T/RX72Tは、産業向けのマイコンで、最大4モーターの同時制御が可能、きめ細かなインバータ制御用に高分解能PWM(Pulse Width Modulation) も装備され、高性能化が図られています。一つのマイコンで最大4モーターを制御でき、多軸モーター制御用としては非常に強力です。

「RX66T」「RX72T」の多軸モーター制御

多軸モーター制御では、システムとしての高精度な位置制御・速度制御が求められており、各軸が補間しあう協調制御が必要です。多軸の協調制御システムではモーターが複数個になるため、小型・軽量化が必要です。そのため小型化が可能なブラシレスDCモーターによるサーボ制御モデルが採用されています。モーターを小型化すると電流リップルが大きくなりますが、インバータへのPWM制御のスイッチング周波数を高めることで、電流リップルを低減させることが可能です。
RX66T/RX72Tは、CPU動作周波数(160MHz/200MHz)からPWMキャリア周波数の生成が可能なため、電流リップルの低減効果が期待できます。高効率な電力マネージメントに高分解能PWMも内蔵され、インバータへのきめ細かな駆動制御が可能となります。
モーター制御ではベクトル制御が多く使われています。ベクトル制御は、トルク・磁束を生成する電流を独立制御するものです。実際の制御では、モーター駆動する相電流をモニタし、電流軸と磁界軸の空間座標を求め、PI制御に応じて三相駆動電流(PWMレジスタ設定)を生成します。
RX72Tは従来製品に比べて、ROM/RAMサイズも増え、ベクトル制御での座標変換及び演算処理に必要な三角関数のアクセラレータなども備えていて、高度な多軸モーター制御向けに性能が向上しています。




高性能化された多軸モーター協調制御マイコン / 動作検証はRAMScopeが最適

RAMScope
RAMScopeは、制御アルゴリズム検証のためのマルチ計測・適合ツールです。最短5us周期でリアルタイムに制御マイコンの変数(RAM値)を観測・収録することができます。また、モーター制御実行中の内部変数およびパラメータのチューニングも可能です。ルネサス社のマイコンRX600シリーズと同様に、RAMScopeシリーズのプローブ(型名:GT10xH08)も互換性を有しています。

RAMScopeの計測アプリケーションでは、ベクトル制御演算の内部変数(モーター相電流、dq軸電流、PIパラメータ、PWMレジスタ設定など)を各軸毎に独立したグラフが表示できます。
異なる制御軸の内部変数の重ね合わせも可能で、相関状態の「見える化」が行えます。下の図は、モーター制御周期に応じたトルク指令値とPWMレジスタ設定、相電流の各モーター軸を計測した表示例です。RAMScopeは、複数のマイコン内部変数、周辺のアナログ信号、CANデータを同期計測するために開発されたマルチ計測ツールです。車載アプリケーションの協調制御システムでは計測ツールとしての豊富な実績があり、多軸モーター制御アプリケーションにも最適なツールです。





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