1.はじめに
前回はHiFive Unmatchedボードについての単体での起動方法や動作確認についてご紹介しました。今回はHiFive Unmatchedボードおよび必要な周辺部品を準備して組み立てたRISC-V PCについて、その概要やブート、動作についてお届けしていきます。
2.RISC-V PC 組み立てに必要なもの
HiFive Unmatchedボードは業界標準の Mini-ITX規格に準拠しておりますので、周辺機器を準備して接続することで容易にRISC-V PCを組み立てられる仕様となっております。
ここで準備する周辺機器についておさらいしましょう。前回HiFive Unmatchedボード単体での動作確認のために準備したATX電源に加え、
- Mini-ITX対応PCケース
- グラフィックボード
- M.2規格の NVMe SSD
- M.2規格の WiFiカード
および
- 液晶ディスプレイ(LCD)
- HDMIケーブル
- USBキーボード
- USBマウス
を準備しました。
このうち、
- グラフィックボード
- M.2規格の NVMe SSD
- M.2規格の WiFiカード
についてはSiFive社で既に動作確認済みとして、Getting Started Guideに以下のような記載があります。

- グラフィックボード : AMD Radeon RX-580
- M.2規格の NVMe SSD : Samsung SSD 970 EVO Plus(250GB)
- M.2規格の WiFiカード : Intel Wierless-AC 9260NGW
これらを用意しました。
それ以外にも市販されているパーツを利用して組み立てられるのも取り組みやすい点です。
実際の組み立てですが前回の技術ブログでも簡単にご紹介しましたが、各種周辺パーツからケースへの実装までに自作PCの組み立てにあまり慣れていない筆者でもおよそ90分程で完成しました。
完成したRISC-Vは以下のようになっております。

3.RISC-V PCを起動してみる
それでは早速電源を投入しブートしてみましょう。以下の画像をクリックして動画をご覧下さい。

このように、ボードに付属のmicroSDカードを挿し電源を投入するだけで簡単にLinuxが起動しました。
4.起動したRISC-V PCをチェック
まずは今回導入したSSDとWiFiについて確認していきます。以下に示すように、正しく各機器が認識されていることが分かります。

次にSSDについて、標準的なLinuxでの操作(パーティション作成、フォーマット、マウント)を行います。以下のように正しくマウントされました。

また、WiFiモジュールの設定はより簡単で、GUIによるネットワークマネージャから接続したいアクセスポイント(AP)を設定するだけで簡単に接続できます。以下のように接続状況も確認できています。

最後に、プリインストール済みのゲームを動作させた動画を見ていきましょう。
サウンド出力対応のLCDを接続した場合、HDMI経由での音の出力も確認できています。以下の画像をクリックして動画をご覧下さい。

5.HiFive Unmatchedボードを取り巻く開発状況
SiFive社では引き続きHiFive Unmatchedボード用の開発環境を充実させていきます。(※1)。またLinuxディストリビューションであるDebian のポーティング(※2)やUbuntuの対応(※3)等、今後ますますソフトウェアエコシステムの充実化が期待できます。
※1 最新のFreedom-U-SDK(2021.02.00)がリリースされ、HiFive Unmatchedがサポートされました。 (https://github.com/sifive/freedom-u-sdk)
※2 Linux.conf.au 2021でのSiFive社 Keith Packard氏の講演 (https://linux.conf.au/schedule/presentation/63/)
※3 Ubuntu 20.04.2 LTS (Focal Fossa)のServer ImageのHiFive Unleashedの対応完了と、HiFive Unmatchedへの対応予定がアナウンスされました。 (https://cdimage.ubuntu.com/releases/20.04/release/)
6.まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は国内最速で入手したHiFive Unmatchedボードを用いて、周辺機器を準備し組み立てたRISC-V PC についてご紹介していきました。SSDの実装やWiFi接続もスムーズに行えることがご覧いただけたかと思います。
また、今後さらにソフトウェアエコシステムの拡充が期待でき、RISC-Vがますます身近なものとなることが予想されます。
次回はRISC-V PCでできることについて、さらに深堀りしてお伝えしたいと思います。
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